全国サミットレポート

2018年2月4日(日)虎ノ門ヒルズにて、第4回地域おこし協力隊全国サミットが開催されました。その模様をお伝えします。

2018年2月4日、全国から地域おこし協力隊員や自治体職員、一般の方も含めて総勢、約1000名が集結して「第4回地域おこし協力隊全国サミット」が行われた。
その様子の一部始終についてレポートしたい。

オープニングムービーでは島根県出雲市で、休耕田を活用した金魚の養殖活動を行っている山田さん、山形県朝日町で、宿の運営に挑戦している阪野さん、新潟県津南町で地域の魅力を発掘し、情報発信している諸岡さんの、3名の協力隊員の活動ぶりを紹介しながら幕が開いた「第4回地域おこし協力隊全国サミット」。

stage1 挨拶・特別講演 「小さな失敗」が、活動成功への第一歩

はじめにあいさつしたのは、野田聖子総務大臣。
昨年、北海道上士幌町への視察時に、地域おこし協力隊員や、隊員OBの方と意見交換したエピソードを紹介した。地元の農作物を使った一軒家のピザレストランを開店した隊員OBの方から、活動に対するお話を伺いつつ、美味しく料理を頂いたとのこと。

またこれまでの地域おこし協力隊の展開を振り返りつつ、今後に向けての取り組みについて語った。
「平成21年に地域おこし協力隊がスタートした当初、わずか89名だった隊員が平成28年度には4,000人を超え、全国886市町村で活躍されています。
さらにこれまで3年間の活動を終えた隊員の約6割が同じ地域に定住し、同一市町村内に定住した方の約3割が起業するなど、年々、活動は活発化しています。
来年度は制度創設から10年目という節目を迎え、地域・隊員・行政の3者が力を合わせて地域づくりに取り組めるよう総務省としても応援してまいります」

続く基調講演に登壇したのは、株式会社studio-L代表取締役の山崎亮氏。
地域の課題をその地域に住む人たちが解決するための「コミュニティデザイン」をテーマに、全国各地に出向いて講演や支援活動を行っている。

今回の講演のテーマは「コミュニティデザイン~各地の事例から~」。
全国各地を飛び回ってきた山崎氏には、これまで手掛けてきた豊富なコミュニティデザインの実績がある。

今回、その中から3つの事例をご紹介いただいた。

まず初めに紹介したのは、秋田県秋田市のケース。
秋田では「出生率」「高齢化率」「人口減少率」など様々な指標で「全国ワーストワン」という不名誉な記録を持つ中、こうした課題を解決するための取り組みとして「2240才スタイル」という活動を地元の方と共に企画・実施した。

山崎「コンセプトとしては『人生の先輩から、幸せな生き方を学ぼう』というもの。長生きされている人生の先輩(ここでは「高齢者」とは呼ばず、あえて「先輩」と呼ぶ)から、長生きの秘訣や日々楽しみにしていることなど、直接お話を伺って、その内容をもとに展覧会を開催するという趣旨です。
ちなみに『2240』という数字は、今回の企画にご協力いただいた29名の先輩の皆さんの年齢を合計したもの。といっても29名の方にご協力いただくために、何度も足を運び、私たちのことを信頼してもらうまでに多くの時間をかけて取り組んだので、とても大変でしたね」

そこで1点、気になったのは「展覧会」というスタイルにした理由。
そこには「ラーニングピラミッド」という有名な法則にのっとった、正当な理由がある。

山崎「ラーニングピラミッドとは、『平均学習定着率』を示し、能動的に学ぶほど学習の定着化が図れることを図で示しています。
例えば普通に講義を開いて一方的に話を聞く場合、1週間後にその講義内容を覚えている割合は、わずか5%。しかしそこから『資料を読む』『ワークショップなどで他者と議論する』『自ら実践する』といったように、どんどん主体的に学んでいけばそれに比例して、1週間後の定着率も高まっていきます。
そして最も定着率が高まるのは『自ら体験した内容を他人に教える』というもの。なんと1週間後、90%も覚えているという結果が出ています。
このようにせっかく多くの先輩の皆さんから貴重なご意見をいただけたのだから、多くの人の記憶に残るように伝えたいと思い、展覧会というスタイルに決まりました」

展覧会会場では、人生の先輩の生活シーンを細部まで再現。
結果的に、12日間で約1,700人の来場者を集めるなど、大いに盛り上がったという。

山崎「秋田での取り組みを通じてわかったことは、『人とのつながりを通じて幸せになる』ということ。例えば、それが毎日通院することでも、病院で多くの人と触れ合うことで元気になるんですね。
また先輩の中には20歳以上、下の世代の友人がいることも多いことから『年の差フレンズ』を作ることも、幸せに生きる重要な手段なのではないでしょうか」

続いて紹介したのは「鳥取県智頭町」での取り組みのケース。

人口約7,000人の智頭町では2016年、町長のリーダーシップのもと、「総合計画」を策定。住民主体で行政と密に連携しながら一緒に街を元気にしていくために、総合計画策定に際しては、実際に町民約200人に話を聞き、可能な限り町民の要望を取り入れた内容になっている。

智頭町のように、町民を巻き込んで総合計画を策定していくスタイルは、全国的に見ても先進的なケース。智頭町は、特に近年、子育て世代が移住するケースが増えているという、地方では稀有な町で、一見すると成功しているように見えるが、しっかり作り上げた総合計画の内容が、町民に深く理解されていないという課題もあった。

そこで山崎氏が考えたのは、総合計画という「公の計画」と、町民一人ひとりの「私生活」をつなぎ合わせることによって、理解促進を図るというもの。

山崎「町が実施する施策は実に300もあるため、まずはその一つ一つを、人生のライフステージの変化に合わせて分類することで、わかりやすく伝えようとしました。
つまり生まれてから死ぬまで、自分の人生や暮らしにおいて、一つ一つの施策がどのように影響するのか?『智頭暮らしの道しるべ』と題して、一人ひとりの人生に寄り添うまちづくりを、全町民に理解してもらうことを目指したのです」

さらに町民への理解促進を図るべく、山崎氏は「地図帖」というアイデアを思い付いた。
山崎「実は最初に智頭町から依頼を受けた時、智頭だけに『地図帖』がパッと浮かんで、絶対に地図帳を作ろうと決めていました(笑)。
地図にすることによって町内各地で行われる市民活動などの情報をわかりやすく整理し、一目で理解できるメリットがあります」

また町では次世代の街づくりを担う「地域コーディネーターの育成」にも注力していくことから、地域おこし協力隊員5名がチームを組んで、地元の若い人たちに対して積極的に声を掛けている。そうした取り組みによって、若い人同士が気軽に集まれる場を作ったり、フラットな立場で何でも話せる関係性を築き上げていくことを目指しているという。

最後に紹介したのは、福島県猪苗代町のケース。
「はじまりの美術館」という施設を作るにあたり、町から寄せられたテーマは「地元の人に一番利用してほしい」というものだったそうだ。

そのためには当然、地元の方の協力が必要不可欠。
山崎「そこでまずはワークショップを開催しようとしたのですが、まず人が集まらない。ようやく集まってもらっても、全くしゃべらない。 これではらちが明かないと考え、次の作戦を考えました。
それは地元のおばあちゃんが好みそうな、若いイケメンスタッフを現地に派遣して期間限定で共同生活をするというもの。
基本、彼らには普通に暮らしてもらうのですが『ご飯を食べるときは外に出て軒先で食べるようにする』というルールを決めました。
そうすると近所の方が興味深くその様子を見て、時間がたつにつれて『地元で採れた野菜を持ってきてくれる』→『料理を届けてくれる』→『亡くなったご主人の服をもらえる』といった形で、どんどん親しい関係になり、もらった服は必ず着ることで愛着を持ってもらえるようになっていくわけです。
そうして1カ月程度時間をかけて、ようやく『今度寄り合いをやりますから、息子さんやお孫さんを連れてきてください』と声を掛けて、協力を得ることに成功しました」

その後、地元の方の協力を得ながら「はじまりの美術館」の開館式が盛大に開催されたが、そこで大きな気づきがあったという。

山崎「うちのスタッフがある準備作業で失敗をしてしまい、地元の子どもたちから結構マジメに怒られてしまったんです(笑)。でもこうした小さな失敗を起こすことが、逆に地元の方との心理的な距離を縮めることに成功できたと実感しています。
人間らしい失敗を見せることによって協力や理解を得られることもあるので、これから地域おこし協力隊として活動していく上で、失敗を恐れず、逆に失敗を積み重ねていくくらいの気持ちで臨むことが、良い結果に結び付くのではないでしょうか」

以上3つの事例を紹介していただいた山崎氏が最後に伝えたのは、「モノやサービスを手に入れる方法」について。

  1. 1.「見知らぬ人」から「貨幣」を介して(ネット売買やコンビニなど)
  2. 2.「顔見知り」から「貨幣と信頼」を介して(家賃や美容室、土産など)
  3. 3.「知り合い」から「信頼」を介して(コメや野菜など)

山崎「この3つの方法を都市部と地方で比較してみると、都市部では1が過半数を超えるのに対して、地方では1・2・3がちょうど三等分になっています。 今後、安定した生活を続けていくためには、地方のように1・2・3が程よいバランスを保つことが重要なのではないでしょうか? そのためには今後、お金よりも信頼を高めることが重要になってくると思います」

stage2 地域おこし協力隊パネルディスカッション 「地域おこし協力隊と地域が元気になる関係のあり方について」

基調講演に続いて開催された、パネルディスカッション。
テーマは「地域おこし協力隊と地域が元気になる関係のあり方について」で、現役隊員や隊員OB・OG、隊員を受け入れる自治体担当者、地域の方5名が参加して、それぞれの体験で得た感想や、地域が元気になるアイデアについての持論を展開した。

司会は徳島大学総合科学部准教授の田口太郎氏が務めた。

まずは今回のディスカッションに参加した5名の方の自己紹介から始まった。

吉村さんは鹿児島市出身で2016年7月、日置市の地域おこし協力隊としてJターンによって着任。観光業を中心に新しい仕事を作っていくための取り組みとして、マルシェ(朝市)や空き店舗を活用したチャリティーショップなどの運営を、地元企業や地域と連携しながら取り組んでいる。

福永さんは鹿児島出身で平成26年5月から3年間、北海道滝上町の地域おこし協力隊員として活動。1年目は町営レストランが休業する冬期の運営に取り組み、2年目からは町民が集まる場となる「コミュニティカフェ」を立ち上げ、運営に携わった。
任期終了後も町内に定住し、今は町の観光協会に勤務して様々なイベントを企画・開催している。

水柿さんは東京出身で、2010年7月から3年間、岡山県美作市の地域おこし協力隊員として活動。棚田を再生する活動をはじめ様々なテーマに挑戦しながら、地域の交流活発化を推進してきた。
任務終了後も「お世話になった地元の皆さんに恩返ししたい」との思いから家族と共に定住。「みんなの孫プロジェクト」や「消防団」等の活動を推進している。

石川さんは日置市の美山地区公民館館長として2015年、市として初めて地域おこし協力隊の受け入れを行う際に、受け入れ先として立候補。地元ではわからない、新しい価値を持つ若い人を受け入れ、一緒に活動していくことによって「美山」の名前を世に広く知らしめることを目標に、今は現役隊員である吉村さんを支援している。

清原さんは北海道滝上町の職員として、主にまちづくり推進活動を担当。
5年前から地域おこし協力隊の受け入れをスタートし、活動を共にしながら行政の役割を少しずつ理解してきたという。
本人曰く「協力隊員=のび太」「行政=四次元ポケットのないドラえもん」「住民=ジャイアンやスネ夫など、個性豊かな仲間たち」という認識のもと、皆をつなげていく役割を担っていくことがミッションだと考えている。

自己紹介に続き、今回のテーマである「隊員と地域との関係」に関する課題について語った。

「地域おこし協力隊員が活動をスタートする際、地元の人からは正直『なんだかわからない人』というイメージを持たれてしまうことがほとんど。
そうした状況で、どのように対応していけばいいのでしょうか?」と司会の田口氏からの質問に対して、参加者からそれぞれ意見が寄せられた。

水柿「私の場合、行政主導のもとで『棚田の再生』というテーマに関わることになったので正直、住民が望んでいることではなかったんですね。
そのため、特に最初のころは協力が得にくく、挨拶してもよそよそしい対応でした。
ただそこで立ち止まるわけにもいかないし、任期も3年と限られているからこそ、自分から率先して地元の方に挨拶したり、ついでに泊まらせてもらったり、相手の懐深く飛び込んでいきました。
また棚田の草刈りなどの作業を行うと目立つので、自然と地元の方が声を掛けてくれたり、差し入れを持ってきてくれるので、草刈りが住民とのコミュニケーションツールとして、とても有効だと感じましたね」

福永「1年目のレストランの時はなかなか住民の方と深く関わることができませんでした。2年目にカフェを開いてからは、少しずつ私や協力隊の存在を理解してもらえるようになってきました。
大事なのは、毎日住民の目に見える行動を続けていくことなのではないでしょうか」

田口「福永さんの活動に対して、行政側はどのようにサポートしたのでしょうか?」

清原「協力隊を受け入れるきっかけとなったのは、冬の期間に店舗が閉鎖され、雇用がなくなってしまうという課題を解決したいということでした。
そこで福永さんに入ってもらったわけですが、コミュニティカフェを立ち上げるためには、条例化する等行政上のハードルも高く、最終的には福永さんから直接、町長にカフェ運営のプレゼンをしてもらうようにサポートもしました」

田口「なるほど、行政としてもいろいろ工夫しながら、課題解決のための取り組みをされているわけですね。
同じく今回、隊員と地域の方の2名が参加されている日置市はどうでしょうか?」

石川「日置市の美山地区は長年、年配者の力が強く、若い人が自分の意見をなかなか言えない雰囲気がありました。そこで『60歳以上の方は参加できない会合』などのルールを作って若い人が自由に意見を言える場を築いたり、10~20年後を見据えた美山地区総合戦略の企画に吉村さんにも入ってもらうことで、失敗を恐れずチャレンジしていく体制をサポートしています」

吉村「ちょうど活動をスタートしたタイミングで総合戦略の企画段階から参加できたことは正直、とても助かりましたね。対話重視で若い人を中心にみんなを巻き込める環境があったので、そこで私は積極的に相談したり、時には甘えることで早くから信頼を得ることに注力しました。その後はみんなに注目される企画を考え、実行に移していきました」

田口「“甘え上手”であることが、信頼を得るコツなんですかね。水柿さんも?」

水柿「私の場合、他人との距離を縮めるためには『いじる・いじられる』ことが大事だと考えています。ちょっとした失敗をすることで自分のことをさらけ出す。そこから会話の糸口を作り、相手が自分の人間性を理解してくれて、親しみを持ってもらえるのかもしれません」

田口「福永さんのような女性の場合、住民との関係作りの方法に違いはあるのでしょうか?」

福永「女性というわけではありませんが、基本的に町民の方は『行政嫌い』の方が多いので(笑)、そこで共感しながら関係を築いていくことも、一つのやり方ではありますね」

清原「役場にいる立場としては、とてもショックですが...(笑)。
ただ役場にはあまりいきたくないという苦手意識は、なんとなく町民の方はお持ちであることは理解しています。だからこそ協力隊だけでなく、私たちも積極的に住民の方に歩み寄っていく努力が必要だと思いますね」

福永「実は最初のころ、車に乗れず自転車で1日60~70キロ、移動していました(笑)。
すると町民の方から注目されて声を掛けてもらえるようになり、チェーンが外れたら助けてくれたり、いざ車に乗り換えたらその話題で盛り上がり、自然とコミュニケーションの輪が広がっていきました」

田口「もう一つ、隊員の活動を続ける上で課題となるのは、任期終了後について。そのまま定住するのかしないのか、地元からは『定住してほしい』 といわれることも多いと聞きますが、活動を終えて定住している福永さん、水柿さんはどのような思いで定住を決めたのですか?」

福永「当初は定住を全く考えていませんでした。でも地域の方との交流を通じて、『コミュニティカフェを続けてほしい』という声もあって、ぎりぎりまで悩んだ末に定住を決意。たまたま観光協会でメンバーが足りないとのことで、残ることにしました」

水柿「東京の大学に通学しながら活動していたので、定住する気は全くありませんでした。でも活動を通じて地元の方には本当にお世話になって『残って恩返ししたい』『この地域に暮らしたい』という気持ちが日に日に強くなっていき、定住を決意しました」

田口「今のお二人の話を聞いて、隊員を受け入れる側として、何かアドバイスできることはありますか?」

清原「北海道は開拓から100年と歴史が浅く、その中で3年間活動するということは『町の歴史の3%の実績』として、後世に残るということ。だからこそ、堂々と活動してほしいですね」

石川「自分一人で抱えないで、とにかく地域の人と何でもいいから話してほしいですね。話さなければわからないことがたくさんあるので」

田口「それでは最後に現役・OB・OG隊員から、メッセージを頂ければ」

吉村「あと任期が1年半あり、先月結婚もしました。この地域で今後、さらに仕事を増やして若い人が長く住めるようにして、積極的にPRしていきたいですね。これから隊員になるか悩んでいる方は、全国各地で豊富な活動事例があるので参考にしたり、また私もSNSで情報発信しているので、ぜひ連絡ください」

福永「今後さらに地域の人と深く交流できるように、できることからお手伝いしていきたいですね」

水柿「地域に住むことは『そこが職場にもなる』ということで、これは都会にはない感覚。実際に活動することで辛い思いをすることもありますが、生きることの本当の豊かさに気づかされることも多々あります。3年間の活動は貴重な時間であり、また4年目以降の人生につながるので、覚悟を持って挑戦してほしいですね」

そして今回のパネルディスカッションのまとめとして、田口氏は以下のように総括した。
「一番大事なことは、地域の方たちに対してこちらから積極的に話しかけていくこと。
私自身、これまで様々な地域で活動を見てきましたが、問題が起こるときはだいたいの場合、地域とのコミュニケーション不足が原因。
だからこそ、失敗を恐れず飛び込んでいくことが、地元の方から信頼を得るきっかけになるので、ぜひ地域に深く関わってほしいと思います」

またパネルディスカッション終了後、新藤元総務大臣が駆けつけ、会場にいる協力隊員に向けて、力強いエールを送った。
最後に、小倉総務大臣政務官が挨拶し、メイン会場のイベントを締めくくった。

stage3 地域おこし協力隊PR 全国43市町村の協力隊が出展。今年はクラウドファンディング事業者からの事業PRも。

今回のサミットでは北は北海道・利尻富士町から南は大分・中津市まで、複数市町村の合同出展を含む、全国43市町村の地域おこし協力隊が、地元の特産品や活動報告を行う展示ブースを出展。
さらに展示会場では今年「株式会社トラストバンク」「株式会社LIFULL Social Founding」「楽天株式会社」各社が、地域おこし協力隊クラウドファンディング事業のPRや相談サポートを実施した。 野田聖子総務大臣や小倉総務大臣政務官、新藤元総務大臣も展示ブースを視察する中、全国各地の隊員や自治体関係者が交流を図り、会場は大いに盛り上がった。

stage4 参加者の声・まとめ 全国の事例を共有し、新たなネットワークが生まれる

第4回を迎えた今回のサミットもこれまで同様、隊員や自治体関係者を中心に数多くの方々が参加。

イベントの最後で開催された交流会会場で今回の感想を聞いてみると、多くの人との出会い、そして全国各地の事例を共有できたことによって「今後、目指すべき目標や解決のヒントが明確になった」「もっと多くの協力隊・自治体と交流を深めるきっかけ作りができた」など、様々な収穫を得たことによる満足感が伝わってきた。

参加者の声

〈協力隊〉

今回の地域おこし協力隊パネルディスカッションのパネリストとして参加した岡山県美作市地域おこし協力隊OBの水柿さん

「他のパネリストの方は自治体担当者や地域の方とペアで来られていたので、隊員と自治体担当者の人間関係や温かな空気感を直接、肌で感じて参考になりましたね。もちろん私も長年活動して、地元では多くの人と良好な関係を築いています。隊員として地元の人とのコミュニケーションを大事にしていくことで、どんどん有益な情報をいただけるので、その点はぜひこれから隊員になる方にお勧めしたいですね」

静岡県焼津市地域おこし協力隊の三浦さん

「埼玉出身ですが、静岡の釣具店で働いたり、週末は釣り船に乗って釣りを楽しんでいました。1年ほどイタリアに行って帰ってきたタイミングで、焼津の隊員に。私の好きな釣りをもっと女性や子どもに広めるための地域イベントを考えています。今回、特に山崎さんが具体的なイベント成功例をご紹介いただき、とても参考になりました」

岡山県新庄村地域おこし協力隊の内藤さん

「名古屋出身で移住に興味があったことと、観光関連のテーマに挑戦したいという思いが、新庄村での隊員活動とリンクしていたため、昨年隊員に。小さな村で観光協会もない中で、観光PRのための仕組み作りから挑戦しています。今回のサミットを通じて、どうすれば地元の協力を得ながら進めていくことができるかのヒントをつかんだので、自治体の担当者にも今回の話を伝えたいですね」

〈自治体職員〉

熊本県の穴井さん

「熊本県全域で現在、98名の協力隊員が活動していて、私は隊員希望の方と自治体とのマッチングや、活動終了後の生活支援などを主に担当しています。今回の参加で改めて感じたのは、隊員の受け入れに対する温度差が、自治体ごとにあること。熊本県内でも隊員活動の歴史が長いところと浅いところで、活動に対する理解に温度差があるので、今後全体的な底上げを図っていけたらと思います。」

〈自治体職員&協力隊〉

長野県栄村の石坂さんと協力隊員の大塚さん

石坂「今回、初めて協力隊員第一号として大塚さんに活動してもらっています。私たち自治体も初めての取り組みで試行錯誤しながら進めていますが、今回のサミットを通じて感じたのは、積極的に隊員の方とコミュニケーションを図りながら、行政側でもっとサポートできることを模索していかなければ、という思いです」

大塚「今は1年目で正直、失敗を恐れていた部分もあったのですが今回のサミットで、小さな失敗を積極的に積み重ねていくことがうまくいく秘訣だと知り、大いに励みになりました」」

このように全国各地で活動している協力隊員、そして活動をサポートする自治体職員が今回のサミットをきっかけに、今後の活動の参考になる多くの事例を共有できた。
さらに積極的な交流を図ることで「同志」としての絆やネットワークが生まれたことも、全国サミットならではの大きな醍醐味。
最後に、今回参加されたすべての皆さんの今後のご活躍を心よりお祈りしたい。

第1回全国サミット事後レポート
第2回全国サミット事後レポート
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