第5回地域おこし協力隊全国サミットイベントレポート

2019年2月24日(日)ベルサール渋谷ガーデンにて、第5回地域おこし協力隊全国サミットが開催されました。その模様をお伝えします。

全国から地域おこし協力隊員や自治体職員、一般の方も含めて総勢、1,000名以上が集結して「第5回地域おこし協力隊全国サミット」が行われた。2015年度に第1回が開催されて以来、毎回着実に開催規模が拡大。
さらに今年度は地域おこし協力隊誕生から10周年を迎える記念の年となったことで、これまで以上の盛り上がりを見せた。その様子の一部始終についてレポートしたい。

Movie

オープニングムービーでは茨城県高萩市、群馬県富岡市、広島県東広島市、鹿児島県南九州市の各地で活躍している、地域おこし協力隊員の様子が流れた。

stage01 挨拶・基調講演

あいさつでは、石田真敏総務大臣から寄せられたビデオメッセージが会場内に流された。

地域おこし協力隊が10周年を迎えたことにはじまり、創設時の2009年度、わずか89名の協力隊員からスタートして2017年度には約5,000人の規模にまで拡大するなど、着実に活動が全国に広がっていることを紹介。
「私自身、これまで奈良県川上村などを訪問して直接活動を目にすることで、地域おこし協力隊が地域コミュニティの担い手となっていることを実感しました」

さらに3年間の任期が終了後、約6割が同じ地域に定住し、そのうちの約3割が起業している。
また移住に関するNPO法人への相談件数が年間、約4万件にまで急増しており、その7割が20~40代の働き世代だという。

今後、2024年度までに協力隊員数を8,000人に増やす目標を掲げており、そのための取組みとして来年度から地域おこし協力隊員と派遣先地域とのミスマッチを防ぐため「おためし地域おこし協力隊」をスタートさせる予定。

最後に石田大臣からは「今回の全国サミットを通じて、地域おこし協力隊のネットワークを広げて、持続可能な地域社会のさらなる拡大に結びつけてほしい」とのメッセージで締められた。

続いて基調講演に登壇したのは、株式会社good design company代表の水野学氏。

「くまモン」のデザイナーとして注目を集め、またNTTドコモの「iD」、相鉄ブランドアッププロジェクトなど豊富な実績を持つ。ブランドづくりの根本からロゴ、商品企画、パッケージ、インテリアデザイン、コンサルティングまでトータルプロデュースを行う水野氏が今回の講演で掲げたテーマは「地域×デザイン 地方創生に効くデザイン」というもの。

まず水野氏が注目したのは今年、「亥年」であること。
亥年は「参院選」や「地方統一選挙」など何らかの革命が起きる年であることから、ネットビジネスの世界でも「網業革命」が起きると予言している。
水野「実は7年前に“ブランドをデザインする=ブランディングデザイン”という新しい言葉を私が考えた時、ネットで検索してもわずか2件しかヒットしませんでした。
それが今は、当たり前に使われるようになったことからも、この『網業革命』も数年後、普通に耳にする言葉になっているかもしれません」

次に「そもそもデザインとは何か?」という点について、水野氏は一般的に「装飾」をイメージする方が多く、とても誤解が多いと指摘する。
デザインとは「機能デザイン」と「装飾デザイン」の両者によってはじめて成立するという。

水野「例えば飛行機をイメージしたとき、あの形は安全に飛ぶために必要な機能デザイン。その上で装飾を施すのは『あの飛行機に乗ってみたい!』と思わせる目的を持ちます。この両者組み合わせていくことが、デザインを考える上で重要です」

さらに「ブランディングデザイン」について水野氏は「人やモノ、街、企業、商品などあらゆるモノにブランドはありますが、これらを受け手である消費者などにどう見せていくのか?『見え方のコントロール』が、ブランディングデザインの本質です」と語る。

しかし、いざ企業や自治体がデザインを導入しようとする際、そこには「4つの壁」が存在するという。
つまり
◇ 技術至上主義の壁:「いい商品を作れば売れる」という思い込みだけで、デザインの必要性を感じない
◇ 費用対効果の壁:デザイン料に見合うだけのリターンはあるのか疑問
◇ トラウマの壁:過去デザインに注力したが、売上アップにつながらなかった
◇ 体力の壁:デザインに投資する資金がない

しかし、先ほど紹介したデザインの本質を理解した上で、魅力的なテーマであれば、決して高いデザイン料を伴うものではないと水野氏は指摘する。
「皆さんの住む地元にも、必ず無名ではあるものの、優秀なデザイナーはいます。そうしたデザイナーを事前にしっかりリサーチすることも、いわば広い意味で『デザインする』ということ。デザインは何もデザイナーだけの専業ではなく、発注側も一緒に考え、行動し、協業していくことで、大きな成果につながっていく可能性が広がります」

そして最後に、水野氏からこれまでの実績を通じて得た、地方創生に効くデザイン事例に関するご紹介があった。
まず『くまモン』の場合、あれだけ成功したのは、くまモンの使用権を熊本県が買い取り、無料で気軽に使えるようにするなど、柔軟な発想と行動によるものだという。
もちろん、デザイン自体も目の位置を1ミリ単位で検討する等、数千パターンのデザインを考え、精度を高めていったことも大きい。

stage02 トークセッションくまモンが成功した理由とは!?

基調講演に続いて行われたトークセッションでは、引き続き水野氏が登場。
『くまモン』生みの親である水野氏と、育ての親である熊本県東京事務所長の成尾雅貴氏を新たに迎い入れて、誕生の経緯や、成功につながった秘訣などについて、ざっくばらんに楽しい会話が進んだ。

成尾「最初に『くまモン』を見て、成功すると思いました?」

水野「初めは全く思ってなかったですね(笑)。でも熊本県庁から『使用権利を買い取りたい』との申し出を受けた時、少し衝撃を受けました。つまり『くまモン』は現代アートのような存在なんだと。県が買い取ることでいろんな人が自由な発想とアイデアでくまモンを使えるのは、とても面白いと思ったんです」

成尾「実は当初、2011年の九州新幹線全線開通を機に『くまもとサプライズ!』というロゴの作成を水野さんにお願いしたのが、くまモン誕生のきっかけでした」

水野「ただ私としては、単にロゴをデザインするだけで本当に今回の目的である『地域活性化』に効果があるのか?しかも県民の皆さんの税金を使ってまで有効なのか?疑問に思ったんですね」

成尾「水野さんのすごいところは、目的達成のために何が必要かをとことん追求していただけたこと。そこで水野さんからロゴと共に『おまけにこんなもの作りました』と提案されたのがくまモンでした。つまりくまモンは「望まれて生まれてこなかった、かわいそうな存在だったんです(笑)。 水野さんは『ロゴを作る』という期待にはしっかり応えつつ『くまモンを生み出す』という“予想を裏切る”両方をやってのけたことがすごいこと」

水野「仕事の流儀として、どんな案件であっても『目的を明確化する』ことは常に大事にしていますね」

成尾「またくまモン成功のために重要な取り組みだったのは、『チームくまモン』としての基本的な考え方を作ること。
県庁のような組織は定期的に人事異動があるため、ずっと同じ人がくまモンを担当できません。
そこでくまモンの行動パターンに関して『サプライズ』『ストーリー』『シェア』という3つのキーワードに落とし込んで、くまモンの活動によって『三方良し』となることを目指しました」

水野「送り手と受け手、そして世間の三方がそれぞれメリットを享受できないと、成功しませんよね」

成尾「水野さんには、くまモンの様々なパターンのデザインを毎年考案して、作成していただいていることも、成功の大きな要因の一つです」

水野「単なる一過性のキャンペーンで終わらせたくなかったのが大きいですね。継続して長く利用され、愛されることが重要だと考えたので。
結果的に今、くまモンをきっかけに熊本の良さが徐々に世間に認知されるようになっていき、私の事務所にも感謝の手紙を送っていただき、とても感慨深いですね」

成尾「今後、海外のお客様も多くいらっしゃるので、熊本県全体が『くまモンランド』としておもてなしできるようにしていくことを目指しています」

トークセッションの終盤には、くまモンと、熊本県在住のタレントで、熊本県宣伝部長であるスザンヌさんが登場して、大いに盛り上がった。

stage03 地域おこし協力隊ビジネスアワード採択団体の紹介

総務省では、地域おこし協力隊員の活動の充実や地域への定住・定着を更に促進するため、地方自治体の支援のもとで起業に取り組む地域おこし協力隊員、又は隊員OB・OGのビジネスプランを募集している。
コンペティション形式で審査の上、支援事業を採択する「地域おこし協力隊ビジネスアワード事業」で今年度は、4つの採択団体が決定した。

● 青森県弘前市「hana-tsumi(ハナツミ)」赤木 麻佳 隊員

栽培の過程で間引き(摘花)により捨てられてしまう「りんごの花」を、「プリザーブドフラワー」「ハーバリウム」などの商品化、イベントでのフラワーシャワーなどでの活用を提案することで、「りんご」「弘前」の魅力アップを目指していく。

● 茨城県桜川市「大泉さくらガーデンヒルズプロジェクト」大川 奈奈 隊員

桜川市大泉地区の隠れた地域資源である「桜」を活用した「桜の塩漬け」「桜の石けん」等の商品開発。さらにさくらの里やハーブガーデンなど地域住民を巻き込んだ地域内外の人々の交流の場づくりと、地域コミュニティの活性化を目指す。

● 広島県東広島市「豊栄羊毛プロジェクト」山田 芳雅 隊員

東広島市豊栄町で、草刈りのために飼育されている羊の毛を活用して「ピアス」
「モビール」などのアクセサリ製作や、糸紡ぎ体験など多くの人に「コト」を体験できる場を提供。
これらの活動を通じて「羊のまち」としてのブランド化と、農村田園環境の維持を目指す。

● 沖縄県糸満市「公民館を活用した『半自治半X』」藤枝 真美 隊員

「公民館」という地域自治の拠点を活用することで、地域住民と来訪者との交流ビジネスを展開。
「若者向けイベント」「地元のおじい・おばあと楽しく会話できる癒しの空間づくり」を通じて、過疎化が進んだ地域コミュニティ&経済活動の活性化を目指す。

stage04 パネルディスカッション 「災害復興と地域おこし協力隊~協力隊10年の歩みと新たな可能性~」

続いて開催された、パネルディスカッション。
テーマは「災害復興と地域おこし協力隊~協力隊10年の歩みと新たな可能性~」で、現役・OBの隊員や、復興支援員5名が参加した。
それぞれ大規模な災害を自らも被災しつつ、その体験の中で得た、地域おこし協力隊だからこそできる災害復興への取組みについて、持論を語ってもらった。
また司会は公益社団法人中越防災安全推進機構 ムラビト・デザインセンター長の阿部巧氏が務めた。

阿部氏は2004年に発生した中越地震の際、集落の存続危機を目の当たりにしたことで、「復興支援者」として深く関わった経験から、それが今の復興支援活動の原点となっていると語る。

西原千織さんは東京都出身で2018年3月、岡山県高梁市の地域おこし協力隊員として赴任。
地元の特産品である「お茶」を活用した地域おこし活動を行っており、今は今年3月の開業に向けてお茶屋づくりに注力している。

矢羽田健太さんは会計事務所に勤務していたが2016年に発生した熊本地震を機に、故郷の復興に貢献したい思いから2017年4月、大分市日田市の地域おこし協力隊員として赴任。

藤井裕也さんは2011年、岡山県美作市の地域おこし協力隊員として3年間活動を続けた後、地域福祉をテーマに起業している。これまで岡山県では100名の隊員が卒業し、そのうち70名ほどが今もOBとして残って活動しているが、藤井さんはその一人として現役隊員の活動を支援している。

河井昌猛さんは大阪出身で、運送業をしていたが病気になったことをきっかけに生き方を変えたいと考え、地域おこし協力隊員に。
大分県日田市で2012年から3年間、地元の住人の家を地道に訪問して活動し、今は地域の困りごとを解決するための支援団体を立ち上げ、運営している。

佐野利恵さんは岩手県釜石市の復興支援員として、今年で4年目を迎える。元々JICAやWWFなどのインターン活動を通じてSDGsを作る現場を体験したことで、被災地の支援に貢献したい思いから「釜援隊」という復興支援活動のコーディネーターとして、また地元ラジオ局のパーソナリティとして幅広く活躍している。

自己紹介に続き、今回のテーマである「災害復興時、協力隊員ができること」についてそれぞれの体験談を語った。

河井「2016年の熊本地震でいち早く現地に出てお手伝いをしました。その後、2017年の西日本豪雨の際にも今住んでいる日田市で災害が発生し、こうした体験を通じて民間による災害ボランティアセンターを立ち上げ、運営することで復興活動をサポートしています」

矢羽田「日田市で野菜直売所を運営していましたが、そこが災害で流されてしまうなど、自分自身も被災者に。そこで自分や周りが困ったことが見えてきたので、民間のボランティアセンターを設立し、日田市内に3,000人の支援員を派遣しました。その活動の中で『元のコミュニティの人たちと話せる場が欲しい』というニーズがあることがわかり、無料で利用できるコミュニティ施設を作りました」

 西原「西日本豪雨で自分自身も被災する中、まずは廃棄物の撤去などでお手伝いしたのですが、体力的に長く続けるのは厳しいなと。そこで東京にいた時の経験を活かして、東京と神奈川でチャリティーイベントを開催。チャリティーグッズの販売等を通じて支援金を募り、被災地に寄付しました」

藤井「岡山はこれまで比較的災害が少ないエリアだったこともあり、西日本豪雨が発生した際、住民も自治体も具体的に何をどうすればいいんかわからないといった問題が発生しました。そこで被災地の情報を収集し、県外にいる地域おこし協力隊のネットワークを活かすことで最適な復興支援活動を迅速に被災地に提供できるための『つなぐ支援』を目的に活動しました」

河井「毎年のように大規模な災害がある今だからこそ、これまで築いてきた地域おこし協力隊のネットワークを活かして、被災地域でスムーズかつ迅速な復興支援活動ができる体制を築くことで貢献できるのでは?」と思うようになりました。

藤井「岡山でもたくさんの地域が被災しましたが、メディアで取り上げられる地域はごく一部。取り上げられない地域は、なかなか外部からボランティアを呼ぶことが難しいんです。でも同じ協力隊員のネットワークを通じて知り合った河井さんにいろいろアドバイスを頂いたり、河井さんを通じて支援に協力したい方とのつながりができたことは、とても助かりました」

西原「私のところには被災後、SNSを介して多くの知人・友人から『何かできないか?』という声をたくさんいただきました。でも私自身が被災したこともあり、なかなかすぐその声に応えることができない。その後私にできることを考えた時、慣れない力仕事で廃棄物を除去するのではなく、イベントを通じて寄付や支援を呼びかける『見える支援』を行うことでした」

矢羽田「九州北部豪雨で被災後、街がむちゃくちゃになった姿を目の当たりにしたとき、正直『復興支援をやりたくない』と思ってしまいました。でもその後、普段お世話になっている地元の方が事あるごとに声をかけていただいたとき『アクションを起こさない自分はウソだ!』と思い、迷いが吹っ切れて支援活動に専念できました」

河井「外部の人間がいきなり被災地に行って支援するのは、ハードルが高いのが現実。その時、とても頼りになったのが地元ですでに信頼を得ている協力隊員の存在です。岡山で復興支援を行う際には、藤井君が地元の方との間に入ってくれたおかげで、スムーズに活動できたのは大きかったですね」

佐野「手前みそになりますが今、日本で一番安全な街は釜石だと思っています。東日本大震災から8年を経て今、市内には復興支援員や協力隊員、またNPOなど個人で支援活動を行っている方含め常時30~40名程度の『専門家』が在住。彼ら自身の存在もそうですが、それ以上にすごいのは彼らが持つネットワークです。何か災害が発生すれば迅速かつ的確な行動を起こすことができるので、本当に頼りになるんですね」

阿部「これまでの皆さんのお話を伺う中で気づいたのは、地元のことを知っている協力隊員を介して、全国に広がるネットワークを活かした外部からの支援活動を迅速にサポートできる体制があることは、地域おこし協力隊の強みだと思います。
皆さんそれぞれが体験した災害復興を通じて、気づいたことがあれば教えてください」

河井「僕の場合、ただ地元のおじいちゃん・おばあちゃんのお宅を訪問してお茶を飲みながら話をしただけだったんですが、『来てくれるだけで安心』といってもらえるんですね。特に被災時、誰かに声をかけてもらえたり、話をするだけで元気をもらえる。『人が人を元気にする』と気づいたことは、活動を通じて得た貴重な経験でした」

矢羽田「災害が発生して街の風景がガラッと変わっても、中身はかわらないことですね。災害前まで抱えていた『買い物難民』『少子高齢化』といった社会問題は災害時、特に顕著に出る。そこで平時からこうした根本的な課題とどう向き合って解決していくかが、次の災害が発生した際には大きく影響してくると思います」

西原「今、お店を改装していますが周りが次々と声をかけてくれるんですね。それによって地元の様々な情報が集まってきて、つながりができたので、隊員として活動する上でとても大きな力になっています。
日ごろからこうしたつながりを持てる場を作ることがとても大切だと感じましたね」

藤井「ボランティア派遣を行っていた中には、岡山市の職員の方もいらっしゃったんですが、被災地区の状況を深く把握している協力隊員の存在は大きく、彼らからいろいろ学びたいと言っていたことは、印象に残っています」

佐野「釜石市は協力隊員や支援員の受け入れ態勢がしっかりしていて、外部の人材を柔軟に登用するマインドを持つ方が多いので、口コミで『釜石で復興支援に携わるといいぞ』といった声をよく聞きます。
そこには復興支援に関わる方に対して『地域のための活動が80%&自分の自己実現や成長のための活動が20%』といった考えで温かく支援できるマネジメントが評価されているのだと思います」

 阿部「では最後に、今後の展望や目標について聞かせてください」

佐野「先ほど基調講演で水野さんがおっしゃっていた『革命が起きる年』というのは、その通りだと思います。今後、東京などで震災が起きた際、いかに前を向いて行動できるか?そのためのモデルケースとして釜石が今後、積極的に情報発信やシェアをしていきたいですね」

河井「協力隊員の存在は『誰も見たことも、食べたこともない香辛料』だと思います。これまでなかった存在が特に災害発生時、新しい変化を生み出す存在として地域に受け入れられ、復興支援に貢献できるはずです」

矢羽田「協力隊員も、住民も、お互いが信頼を築き双方の感情に大きな変化が起これば災害時、どんな支援も実現できるはず。そのためには普段の活動で常に感謝の気持ちを忘れず、自然と感謝の言葉を口にできることが大切だと思います」

西原「今後8,000人に向けて協力隊員を増やしていく目標がありますが、目標を達成できれば確実に地方や日本は変わると思います。今後も様々な活動を通じて成功も、失敗も数多く積み重ねていきたいですね」

藤井「協力隊として活動していた際、色々な悩みを相談していたおじさんから言われた『地域で大事なのは人口密度』という言葉の意味が今、とてもわかります。人と人とのネットワークが活発であれば、それが地域の活性化や災害からの復興にとって大きな力になる。その上で今回のような全国サミットは、ネットワークを作る絶好の機会だと思います」

最後に阿部氏から「災害の多い日本で今後、地域社会をどう作っていくのか?今回のパネルディスカッションを通じて、地域おこし協力隊の役割はますます重要になっていくと確信しました」という総括の言葉によって終了したパネルディスカッション。

またパネルディスカッション終了後、新藤義孝元総務大臣が会場に駆けつけ、今回の全国サミットに参加した協力隊員に向けて、力強いエールを送った。

stage05 地域おこし協力隊PR 全国38市町村の協力隊が出展。

今回のサミットでは北は北海道・木古内町から南は鹿児島県・湧水町まで、全国38市町村の地域おこし協力隊が、地元の特産品や活動報告を行う展示ブースを出展。
さらに展示会場では基調講演で登壇した水野学氏の会社「株式会社good design company」の企業年表パネルの展示に加え、スザンヌさん、新藤元総務大臣も展示ブースを視察する中、全国各地の隊員や自治体関係者が交流を図り、会場は大いに盛り上がった。

stage06 参加者の声・まとめ 全国の事例を参考に、新たなネットワークを作って今後に生かす

第5回を迎えた今回のサミットもこれまで同様、隊員や自治体関係者を中心に数多くの方々が参加。
イベントの最後で開催された交流会会場で今回の感想を聞いてみると、多くの人との出会い、そして全国各地の事例を共有できたことによって「今後の活動に早速生かしたい」「今回の交流をきっかけに、ネットワークをさらに広げたい」など、様々な収穫を得たことによる満足感が伝わってきた。

参加者の声

新潟県上越市地域おこし協力隊 小田切さん

「初めての参加でしたが、思ったより人がたくさんいるなと思いました。普段地方で活動しているとこうしたつながりが持てないので、貴重な場ですね。今ちょうど他の隊員の方と情報交換していて『そういうやり方もあるね』という発見もありました。
今年活動2年目で、残り1年ちょっとなので、こうしていろんな人と話せる場が欲しかったのでありがたいですね。ネットでも情報は得られますが、ここなら最新の生きた情報が得られるのもいいです」

北海道遠軽町地域おこし協力隊 上山さん

「まだ隊員になって4カ月なので、わからないことも多くありますが今回、このサミット参加を通じて、全国で活動している多くの方と会うことができてうれしかったです。今、私の地域も含めて北海道では森林資源の保護や再生に注力しているところが多いのですが、本州でもそうした事例が多くあることを今回聞けました。あと、料理教室開催の話を聞いたので今後の活動の参考にさせていただきたいなと思っています」

地域おこし協力隊サポートデスク
広島県三次市協力隊員OB 野口さん

「私がいた時(2011年)、協力隊員は全国2,300人だったので、その頃に比べてかなり増えてきましたね。 また『移住促進』『ゲストハウス運営』など、私が活動していた当時にはなかった新しいテーマに取り組んでいる方が増えているんだな、という印象を持ちました」

福島県小野町 吉田さん

「今回の全国サミットでは、特に魅力的な募集要項の書き方などをワークショップで学べて参考になりました。今も隊員を募集しているので、今後に生かしていきたいですね。小野町は長らく人口減少が続いているので、これから入る協力隊員の方には、私たちにはない『外のチカラ』で様々な視点から精力的に活動していただくことを期待しています」

今回は地域おこし協力隊10周年を記念して、これまで以上に盛大な全国サミットとなった。
今回が初めての参加という方も多く、普段なかなか知り合う機会のない隊員同士が情報共有を行うことで今後、さらにネットワークや活動の幅が広がっていくことが期待される。
最後に、今回参加されたすべての皆さんの今後のご活躍を心よりお祈りしたい。

サミットレポート

これまで開催された、
地域おこし協力隊全国サミットの模様を
お伝えします!